本物の銃をどてっ腹に突きつけられた事ありますか? 私はあります。今回はその話です。
私はユーゴを通過しました。その時、たくさんの買い出しにハンガリーに行っていた人々が一斉に列車を降り私と買い出しの乗客ではない母娘だけ車内に残され、
乗客3人の淋しい列車は静かに走りだしました。やがて車内は徐々に混み出して夜を迎えたのですが、 ベオグラードでほとんど降りたのでコンパートメントで一人寒い寒い車内を持っている服を全部 着て背中を丸めて寝ました。
しかし、凍てつく寒さは私の睡眠を妨げるには十分でした。 去年の東欧旅行の夜行列車での極寒経験を生かし多めに防寒着を持ってきてたのに・・・
無理して寝、やっと眠りにつきかけた時ユーゴの国境が近づき起こされた。ユーゴを出国し、 マケドニアの入国係官が入国カードを配り、私はそれに記入して回収者に渡し、パスポートの チェックが終わった時にその男にトイレに行っていいか?と訊ねると「O.K.」と言うので信じて
トイレへ行って用をたす。すべての作業が、終わりズボンを引き上げようとした瞬間、 ドアを強くガンガンとたたく音がしたかと思うと、ドカン!とドアを 蹴破り開けられた。
私は仰天してドアの外に目をやると、別の入国係官が拳銃をこっちに向けて立っている。 何がなんだか分からないがとりあえず、パスポートを左手の親指と人差し指に挟み、 両手を挙げて(降参のポーズ)トイレから出た。
すると男は拳銃の銃口を私の腹にあて、 銃身をクイッと上方に向けて「脱げ!」という風な合図をしたので、パスポートを預け服の ボタンを震える手で1つ1つ外していくと、男はゼスチャーでズボンのベルトを締める仕草を見せる。
実は身なりをきちんとしろという意味で拳銃を使った荒い指示をした様だった。 しかし、国境でトイレなんかに入っていたら密輸かなんかの疑惑がかけられ弾の一発や 二発ぐらい打ち貫かれていてもおかしくないぐらいだった。
その後、列車から降ろされ、 国境の小さな小屋(入国審査室!?)に連行!?された。小屋はストーヴが焚かれ暖かく、 乗客は皆ビザ申請の為 DM を持って並んでいた。私は先程の男に別室に連れて行かれた。
男は担当者らしき人物に私のパスポートを投げつけ「******* ヤポン*****!」 と言ってどこかに行った。
私は「ヤポン」しか聞き取れなかった。なぜなら英語 でもドイツ語でもなかったから。ただ、「ヤポン」という単語から私の事を言ってるのは 分かったので安心した