なんでここに(出国編)

 実は今日は私の友人がドイツに旅立つ日。私は自分の旅立ちを隠していた。 関西国際空港で友人をめざとく見つけた私は「よっ!」と声を掛ける。

  一瞬何がなんだか分からず呆然とする友人 「えっ?なんで???」と友人のやっと出てきたその言葉に私は「見送りに来たで」と。

  「だって今日、平日やん。会社は?」「ウソ。俺も実は今日から出発♪」と私。

 「えー、どこ行くん?」と友人。「ヴェトナムやで」「えー、そんなこと何も 言ってへんかったやん!」「そーや、驚かそう思って・・・」云々かんぬん。
 学生時代は出国時にはみんなが見送りに来てくれていたけど、社会人最初のスペイン 行きは淋しかった。

 ネパールの時は高校の後輩にばったり会って、今回はたまたま 出国が同じ日ということを知ってこういう悪戯を考えた私でした。

 お陰で淋しさを紛らわすことができた。友人は初めての一人旅の出発までのひとときを 気楽に過ごすことができたんではないか?と思う。

 サイゴン到着。僅か6時間。猛暑を予想していたがあいにくの曇り空。

  とりあえずリコンファームとサイゴンの街の地図を手に入れてから安宿街の フォングーラオを目指すことにする。

 空港から市内へのタクシー相場は7~8ドルということだが、私は上記の条件を全て満たす ドライバーを探していた。相手は皆色々回ることに嫌がると思ったが意外に食いつく。

  十分、元を取れるのだろう。できればバイクタクシーで2~3ドルの方が良かったのだが、 熱心なドライバー氏にまけてついでに僅かなディスカウントに応じたことに免じて、彼の タクシーに乗ることにした。

 いくらの宿を捜しているのか?と聞かれ2ドルのドミトリーと言ったら、大笑いして 「2ドル?何年前の話をしているんだ?そんなもんないわ。

 しかもドミトリーなんて」と 言い、「自分の知っている宿を紹介する。大体15ドルだ」言う。

 「あほか!そんなトコ 泊まる金なんか持ってきてへんっちゅうに。」と私が言っているにも関わらずそいつは 私が見るところ中級ホテルばかりを回る。

 そしたら私が交渉すると言って、あっさり10ドル に値下がりしたがそんな高い宿には泊まれないと主張する私とサイゴンは最近治安が悪化して 怪しい宿なんか行ったら危険だと主張するドライバーと対立。

 段々、空気が怪しくなって ついにその時が来た。「フォングーラオに行け!っていうてるやろ!! 金払わへんゾ」と叫ぶ私。

 ドライバー氏はそれでも危険だから止めておけと言う。 「もうええわ。降ろせ。」

 ついに私はタクシーを降り、金を半分投げつけるようにして歩き出した。ココがどこかも 知らないくせに。。。

困った。どこかわからない。道路の名前は地図に見つけることができない。

 やがて、 シクロドライバー、目がいってる怪しい男、女の格好しているが男の声をした (恐らく)オカマ、子供、ヴェトナム語しか 話せない人たちにあっという間に囲まれた。

  ココで集団で襲われたらジ・エンド。でも、なんとかジェスチャーと地図とで現在地 を確認しようとするが、まったくわからない。

 そのうち、シクロドライバーが2,000ドン で連れて行くという。怪しい、安すぎる。試しに紙に数字を書かせたらやっぱり2,000ドン だった。

 と言うわけでシクロに乗る。辺りは何時の間にか暗くなって、知らぬ間に流れた 時を感じさせてくれた。涼風が気持ちいい。

 このまま寝てしまおうか?と思った時 「着いたヨ」と。ドミトリーを探していると言っているのに連れて行かれるのは小さなシングル 値段は7ドル程度。

 さっきのタクシードライバーの言うこともあながち嘘ではなかったのか? で、路地裏の方の宿で値段を聞くと最安値の5ドル。

 一応、キープということで他を見てから と宿を後にしたとき、突然背負っているDパックのチャックを開ける音が・・・

 振り返ると両手を広げて「へっ?何か?」っていうツラをした若い男が居た。当然チャックは 開いていた。「フンっ」と私はプイっとそっぽを向いたが怒りが込み上げてきて、

 「どついたろか」と日本語で一喝。
 そこは止めて別のおばあちゃんの宿にした(4ドル)

 さて、シクロドライバーに2,000ドンを渡そうとすると「20,000ドンだ」と言う。

  あほか!お前は2,000って書いたやろ?ってさっきの紙を見せたら、千の位に付ける点の 位置が2,000でなく、20,00にひとつずれていた。

 だから、20,000ドンだという。 私はシクロドライバーには当然2,000ドンしか渡さなかった。

 ツカレタ私は遅い夕食を取り、明日の観光ツアーの予約をした。

 隣りの旅行社には 日本人が一杯いたのになぜか私は西洋人しか参加していない方を選んだ。 ぐったりした私はそうそうに寝た。

おすすめ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です